今年の第76回ル・マン24時間レースで、最もベテランのドライバーが日本人の寺田陽次郎だ。寺田は今年で29回目のル・マン24時間参戦となる。この大記録を超えるのは、故ボブ・ウォレックとアンリ・ペスカロロの二人だけだ。
1947年3月26日に神戸で生まれた寺田は、今年のル・マン24時間に高橋一穂、加藤寛規とともにテラモスチームのクラージュLC70・無限で出走する。加藤は40歳で、才能に恵まれており、アメリカン・ル・マンシリーズのほか高橋と日本のスーパーGTにも参戦している。
寺田はル・マン24時間の常連だ。1974年以来、寺田は27年連続で参戦し、ほぼ皆勤賞できている。これまでの最上位は、1995年にジム・ダウニング(アメリカ)とフランク・フレオン(フランス)とともにマツダDG3で282周した7位だ。
今年、寺田はミシュランのタイヤを使用し、日本ミシュランタイヤのスタッフがその支援に当たっている。この支援体制は、ミシュランが寺田を今年のル・マン24時間レースにおいて最も重要なドライバーの一人であると位置づけていることの現れである。無限のエンジンの信頼性が向上し、重大なテクニカルトラブルに直面しなければ、寺田は容易にトップ10入りを果たすだろう。
6月1日の公式テスト走行で、プジョーのマルク・ジェネがクラッシュして赤旗中断になった。そのとき寺田は、ピットガレージの奥で加藤とマシンに関する意見交換をしていた。こちらに気づいた寺田は、笑顔でガレージに招き入れてくれた。そして、フランス語ができないことを笑顔でわびながら、こう話してくれた。
「ル・マン24時間を愛していますよ。もう29回目で、もう地元のような感じですよ。20年以上ここに来て、毎年チームを率いてイビス・ウェストホテルに泊まって。もう恒例になっていますし、習慣みたいな感じですね。でも、まだフランス語はダメですけどね」。
ピットガレージの奥のイスに座って、寺田は誇らしげにロレックス・オイスター・パーペチュアル・デイトナを見せてくれた。
「これはル・マン24時間レースのオーガナイザーのACO(フランス西部自動車連盟)から2006年にいただいたものです。底に刻まれた私の名前のそばをみてください。2006年スピリット・オブ・ル・マンとあるでしょう。この年は、アレン・ティンパニーとウィリアム・ビニーとともにLMP2クラスのローラB05/40で出走して、総合13位になりました。326周を周回しました。この賞はドン・パノス、トム・クリステンセンとともに受賞しました。これは、最高の栄誉でした。クリステンセンはル・マン24時間で7回も優勝しています。アウディ、ポルシェ、フェラーリ、スパイカーなど、競合を相手に戦ってきたんですよね。本当に忘れられない年でした。私にとっては、このロレックスが最高の誇りです」。
寺田の目の前には、デザイナーブランドのドレスのように、鮮やかな赤に金色の文字が描き込まれたマシンがあった。そのマシンを見る寺田の目は、まさに鑑定家のそれのようだ。
「見てください。美しいでしょう。日本を代表するカーデザイナーの由良拓也がやってくれたんです。素晴らしいでしょう」。
「このテスト走行では、汚れた路面で1時間しか走れなかったのが心残りです。でも、午前の1回目のセッションでは、LMP1のクラージュ・無限で3分50秒684で11番手でした。平均速度は時速212.691kmで、トップより13.746メートルしか離されていないのです。濡れた路面で湿度も高い日の結果としては、悪くないでしょう!」。
「テスト走行では注意深く走ったので、結局55台中16位に終わりました。最も注意したのはクラッシュでマシンを失わないことでした。決勝になれば、状況はより良くなるでしょう。今年は、テスト走行と決勝の間に日本に戻ります。疲れますけど、忙しくしていますよ。1997年に自分の会社オートエクゼを起こしましたし、ACOの理事も務めていますから。2009年のル・マンシリーズを富士スピードウェイ(10月)と上海で開催予定です。これについても私はACOのパートナーを務めています。やることがいっぱいです。ですから、私がル・マン24時間にいる意義もいっぱいあるんですよ。まずは、自分自身がドライブして、29年目にしますよ」。
現地時間6月14日ロレックスの公式計時によるスタートカウントダウンのあと、午後3時(日本時間同日午後10時)に55台のマシンが、2008年ル・マン24時間レースをスタートする。
ロレックスは、2001年よりル・マン24時間レース、2005年より耐久レース選手権のル・マンシリーズの公式計時を担当している。また、北米の伝統の耐久レースであるデイトナ24時間レースでも、ロレックスは1992年以来公式計時を担当している。
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